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インタビュー/地井武男

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本当の温もり、炎と遊ぶ暮らし

火には不思議な作用があると、僕は思うんだよ。炎を見つめていると、「時が止まる」っていうのかな、永遠の空間がそこに広がっているような錯角を覚えることがあるんだよね。

残念ながら、もう東京では、焚き火をすることもままならないけど、ここ北軽井沢の別荘に来た時には焚き火族の本領を発揮して、のんびり焚き火を楽しんでるんだよ。別荘の周りには落ち葉や小枝、倒木などもあるし、焚き火の材料には事欠かないからね。

古くからおつきあいがある、俳優の渡哲也さんも焚き火がお好きでねぇ、若いころ、こんなエピソードがあったなぁ。僕が、渡さんの奥様と出かけることがあって、朝、自宅に迎えに行くと、渡さんが焚き火をしながら「行ってらっしゃい」と送り出してくれたんだよ。夕方、奥様を送って行くと、朝と同じポジションで焚き火をする渡さんの姿が…。脇に置かれた灰皿だけが朝とは違って山盛りになってた。その姿を見て、「この人も火に魅せられた人なんだ」と、つくづく思ったねぇ。

薪ストーブに火を点けると、気に入ったお酒を手に、ストーブの前に陣取るんだ。座布団の上に寝転がって、炎を長い間見つめることもしばしば。

冬はもちろん、夏でもストーブに火を点すことがある。いくら夕刻になると涼しい軽井沢でも、暖をとるためではない。火を楽しむために、部屋の窓を開け放ってストーブで薪を燃やすんだよ。

いつもと同じく燃えているかのように見えて、その実、刹那、刹那に色や形を変えている。それが、燃える火を見飽きない理由なのかもしれないねぇ。

幼いころには、焚き火でも風呂焚きでも、身近に火があった。でも現代の都会生活では、豊かな自然やきれいな空気が失われたのと同時に火も遠ざけられてしまって、その温もりさえも忘れかけている気がするね。だからこそ「火遊び」が満喫できる別荘は、自分を取り戻せるオアシスなんだなぁ。

地井武男氏 地井武男Takeo Chii
1942年5月5日生まれ。俳優座15期生。
映画・TVドラマ・バラエティー・ラジオ・CMなど幅広く活躍している。倉本聰脚本の長寿人気ドラマ「北の国から」では材木屋さんを演じるなど、アウトドアの一面も定着。趣味は絵画、ゴルフ